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図で見る!トラックドライバーの外国人労働者の動向

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シニア・コンサルタント

佐藤 大二郎

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自動車運送業分野特定技能1号評価試験(以下「特定技能評価試験」という。)が開始され、早くも半年以上が経過しました。特定技能評価試験は、日本海事協会が実施主体となり、コンピュータ・ベースド・テスティング(CBT)方式(注1)又はペーパーテスト方式により、学科試験及び図やイラスト等を用いた状況設定において正しい判別、判断を行わせる判断等試験による実技試験によって行われています。

(注1)コンピュータを使用して出題、解答するもので、受験者は、コンピュータ画面に表示される問題をもとに、画面上で解答する。

特定技能評価試験を受けることができる者は、試験実施日において、満17歳以上で、かつ、日本又は外国で取得した自動車運転免許(試験実施日において有効なものに限る。) を保有している者です。
ただし、国内で受験する者は在留資格を有する者を対象とし、退去強制令書の円滑な執行に協力するとして法務大臣が告示で定める外国政府又は地域の権限のある機関の発行した旅券を所持していない者は除かれます。

出典:「自動車運送業分野特定技能1号評価試験実施要領(令和6年12月)」国土交通省物流・自動車局

1.トラックの動向

(1)受験者数と合格率の推移

日本海事協会の発表した数字をみると、2024年12月から2025年の6月末まで、延べ2,167人が受験し、合格者数1,559人(合格率72%)となっています。
月別の受験者数と合格率は図1.1のとおりです。直近の合格率が下がっており、これが一過性のものかどうか注意する必要があります。
特定技能評価試験は、
①運行業務
②荷役業務
③安全衛生
となっていますので、受験生にとってどの範囲が得意/不得意なのかがわかると、今後に向けて様々な面で役立つ可能性があります。

図1.1 月別の受験者数と合格率(トラック)

図1.1 月別の受験者数と合格率(トラック)

(2)試験実施国別の状況

試験実施国別の受験者数の割合は図1.2のとおりです。試験を実施した国であり、受験者の国籍別ではありません。
これまでに12か国で実施されており、内訳をみると、「日本」国内での受験者数が最も多く、1,111人(51%)と5割以上を占めています。次いで、「インドネシア」508人(24%)、「ミャンマー」137人(6%)、「カンボジア」123人(6%)と続いています。

図1.2 試験実施国別の受験者割合(トラック)

図1.2 試験実施国別の受験者割合(トラック)

試験実施国別の合格率は図1.3のとおりです。
「インド」が最も合格率が高く90.2%と9割を超えています。次いで、「ミャンマー」83.9%、「タイ」82.9%、「日本」77.2%、「カンボジア」73.2%と続いています。
「インドネシア」の受験者数は多いものの、合格率は6割を下回っています。
受験者数が多いからといって、必ずしも合格率が高いとは言い切れないようです。

図1.3 試験実施国別の合格率(トラック)

※「ウズベキスタン」と「ラオス」は受験者数が少ないため合格率は参考値
図1.3 試験実施国別の合格率(トラック)

(3)「日本」の状況

「日本」での実施状況は図1.4のとおりです。これまで「43都道府県で実施されています。受験者数と合格者数を県別にみると、「東京都」、「大阪府」、「愛知県」、「埼玉県」と首都圏に集中する傾向があります。

図1.4 試験実施都道府県別の受験者数と合格者数(トラック)

図1.4 試験実施都道府県別の受験者数と合格者数(トラック)

なお、試験方針によれば、試験に合格することができたとしても、そのことをもって「特定技能」の在留資格が付与されることを保証したものではありません。
さらに、試験合格者に係る在留資格認定証明書交付申請又は在留資格変更許可申請がなされたとしても、必ずしも在留資格認定証明書の交付や在留資格変更の許可を受けられるものではなく、また、在留資格認定証明書の交付を受けたとしても、査証申請については、別途外務省による審査が行われ、必ずしも査証の発給を受けられるものではありません。
したがって、合格者がすべてトラックドライバーになるものではありませんし、合格した都道府県のトラック事業者に採用されるものではないことに注意する必要があります。
「特定技能評価試験」は始まったばかりですから、今後も受験者数や合格者数の動向、さらには、合格者がどのようなトラック輸送業務に就くのかを社会全体で見つめていくことが大事だと思います。

2.他の業態の動向

参考として、タクシーとバスの動向も示します。

(1)タクシー

2024年12月から2025年の6月末まで、延べ207人が受験し、合格者数137人(合格率66%)となっています。
月別の受験者数と合格率は図2.1のとおりです。直近の合格率は6割程度となっています。
試験実施国別の受験者数の割合は図2.2のとおりです。「日本」、「インドネシア」、「カンボジア」の割合が多くなっています。

図2.1 月別の受験者数と合格率(タクシー)

図2.1 月別の受験者数と合格率(タクシー)

図2.2 試験実施国別の受験者割合(タクシー)

図2.2 試験実施国別の受験者割合(タクシー)

(2)バス

2024年12月から2025年の6月末まで、延べ238人が受験し、合格者数206人(合格率87%)となっています。
月別の受験者数と合格率は図3.1のとおりです。直近の合格率は8割程度となっています。
試験実施国別の受験者数の割合は図3.2のとおりです。「日本」、「インドネシア」、「フィリピン」の割合が多くなっています。

図3.1 月別の受験者数と合格率(バス)

図3.1 月別の受験者数と合格率(バス)

図3.2 試験実施国別の受験者割合(バス)

図3.2 試験実施国別の受験者割合(バス)

図表は全て、一般財団法人日本海事協会が発表したデータをもとに筆者が作成

(この記事は、2025年7月15日時点の状況をもとに書かれました。)

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