作業時間計測ツール「ろじたん」は物流事業者でどのように活用されているか?
はじめに
物流業界は、EC市場の拡大や消費者ニーズの多様化に伴い、その重要性を増す一方で、深刻な人手不足という大きな課題に直面しています。ドライバー不足だけでなく、物流倉庫内での作業者確保も年々困難になっており、現場の生産性向上は喫緊の経営課題です。多くの企業が限られたリソースで高いサービス品質を維持するため、日々の業務改善に取り組んでいます。
業務改善の第一歩は、現状を正確に把握することです。特に、どの作業にどれだけの時間がかかっているのかを可視化することは、非効率な業務の特定、適正な人員配置、そして正確な物流コストの算出に不可欠です。しかし、従来の手書きの日報では、作業者の記入漏れや記憶違いによる不正確さ、さらには事務員によるデータ入力・集計作業に膨大な時間がかかるという問題がありました。また、ストップウォッチを用いた観測調査は、観測者の確保が難しく、特に繁忙期には実施が困難であるため、客観的で継続的なデータ収集ができないというジレンマを抱えていました。
こうした課題を解決するため、デジタルツールを導入し、データに基づいた科学的なアプローチで業務改善を進める企業が増えています。スマートフォンやタブレットを活用した作業時間計測ツール「ろじたん」は、誰でも簡単に作業時間を記録でき、集計されたデータを即座に分析できるデジタルツールです。本稿では、物流事業者が「ろじたん」をどのように活用し、具体的な成果に繋げているのか、2社の導入事例を各社の視点からご紹介します。
1.日本トランスシティ株式会社様: 深刻な人材不足に直面!生産性向上に待ったなし!
最初に三重県四日市市に本社を置く120年以上の歴史を誇る日本の老舗物流企業の一つである日本トランスシティ様の事例を紹介します。
日本トランスシティ様は「ろじたん」導入前、ハンディターミナル(HDT)に簡易的なアプリを入れ、生産性を把握しようと試みていました。しかし、HDT1台ごとの設定や管理が非常に煩雑で、継続的な運用に困難を感じていました。そんな折、ある案件で要員計画の適正性を確認する必要が生じました。HDTアプリの更新も手間がかかるため、以前から情報を得ていた「ろじたん」の導入を決めました。他の時間計測ツールと比較しても導入・ランニングコストが格段に安かったことが導入を後押しする大きな要因だったそうです。
最初に導入したKNDC営業所では、複数荷主の商品を取り扱っており、「作業別の時間把握」と「物量波動に対する人員配置の適正性」という2つの課題がありました。そこで、スマホ60台を導入し、3ヶ月間の計測を実施しました。計測データの分析結果は予想を良い意味で裏切るものでした。人員が荷主別に非常に効率良く配置されていることが数値で証明されたのです。これまでは「たぶん、うまくいっているはずだ」という感覚に頼らざるを得ませんでしたが、「ろじたん」導入後は、「今の配置で問題ありません。なぜなら、データがこう示しているからです」と、数値という客観的な根拠をもって社内に説明できるようになり、議論の質と説得力が飛躍的に向上したそうです。
人手不足が深刻な地域で省人化とコスト削減が急務だった中部DCでは、タブレット4台とICカードを利用する形で「ろじたん」を導入。タブレット方式の利点は、管理者がリアルタイムで作業状況を一覧できることです。これにより、手間がかかっている作業へ迅速に人員を振り分けるなど、機動的な配置転換が可能になりました。また、日によって作業者数が大きく変動しても、ICカードの枚数を増やすだけでいいので管理が楽になったそうです。
しかし、中部DCでの最大の収穫は、顧客との関係性にありました。計測したデータを社内での改善活動に使うだけでなく、お客様とも積極的に共有して、これまでコスト増のお願いをする際も、どうしても定性的な説明になりがちだったそうですが、「ろじたん」で得た客観的なデータ、例えば「この時間帯に受注が集中するため、これだけの待機時間と作業負荷が発生しています」といった具体的な事実を共有することで、お客様にも現場の状況を深くご理解いただけるようになり、その結果、受注時間帯の平準化など、お客様を巻き込んだ根本的な改善策を共に検討できるようになったとのことです。データはお客様との間の「共通言語」となり、「ろじたん」はより強固なパートナーシップを築く上で不可欠なツールとなったとのことで、現在では中部地区以外に関東の複数拠点でもご導入を頂いています。
写真:タブレットとICカードによる「ろじたん」利用
日本トランスシティ様の導入事例の詳細はこちらでご覧いただけます。
2. 明治ロジテム様: 24時間シフト勤務の物流現場の業務実態をタイムチャートで見える化!
次は丸天物流グループの明治ロジテム様の事例です。高槻営業所では食品メーカーの工場敷地内にある物流倉庫で約150名のスタッフが24時間シフト勤務で「拠点間輸送の入出庫業務」や「ドライ・チルド製品の客先出荷業務」などの庫内作業を行っています。荷主と情報交換しながら業務効率改善に取り組む中で、より正確なKPIを算出するために「ろじたん」を利用しました。
明治ロジテム様は改善活動の一環として、配置人員数から「一人当たり1時間に何ケース出荷できているか」というKPIを算出し、荷主に報告していました。ある時、荷主から「ろじたんというツールを使えば、作業内容別にもっと細かいKPIが取れるのではないか」というアドバイスがあり、エリア別ではなく、ピッキング、梱包、検品といった個々の作業レベルで時間を把握できれば、より的確な改善策が見つかるのではないかと考えて「ろじたん」を使ってより正確な現状把握をすることになりました。
24時間稼働の現場では、特に管理者の目が届きにくい夜間の作業実態を把握することが難しいという課題がありました。「ろじたん」の分析ツールではスタッフ一人ひとりが、いつ、どの作業を、どれくらいの時間行っていたのを色分けして一目瞭然にする「タイムチャート」を自動生成します。「タイムチャート」により、これまでブラックボックス化しがちだった夜間勤務の実態を正確に把握できるようになり、この課題を解決しました。
さらに大きな発見は、「待機時間」の可視化でした。以前から、毎日16時前後に特定のエリアで「受注データ待ち」による手待ち時間が発生していることは、現場の感覚としてわかっていました。しかし、それが具体的にどれくらいの時間で、何人に影響しているのかまでは把握できていませんでした。「ろじたん」で計測した結果、この待機時間が想定以上に長く、多くのスタッフに影響を及ぼしていることが数値として明確になりました。
図1:スタッフ別タイムチャート(赤が待機時間)
「問題」が数値で特定できたことで、「待機時間が発生するスタッフのシフトを後ろにずらす」「その時間に他のエリアでできる作業を割り振る」といった具体的な「解決策」の検討に進むことができたそうです。例えば、後者を実現するためには、一人のスタッフが複数の作業をこなせる「多能工化」が不可欠です。待機時間を生産的な時間に変えるためにジョブローテーションを計画的に進め、感覚的な問題認識から、データに基づいた具体的な取り組みを実施されました。
また明治ロジテム様では「ろじたん」のアドオン機能である「かんたんKPI」も活用して頂きました。これにより、日別の出荷物量と生産性の関係をグラフで分析したところ、特定の出荷作業において、物量が多い日は生産性が高く、逆に物量が少ない日は生産性が著しく低いという傾向が顕著に現れたのです。物量と生産性の関係度合いを示す相関係数は「0.9」と、極めて高い数値でした。
図2:「かんたんKPI」の生産性と物量の推移図
これまでも、物量が少ない曜日である金曜日は人員を少なめに配置する、といった調整は行っていました。しかし、データは「もっとメリハリのある人員調整が必要だ」ということを明確に示していました。この分析結果を受け、物量予測に基づいた、より科学的な人員配置計画の策定に着手されました。また、どの作業エリアで改善の余地が大きいのかも特定できたため、改善の優先順位付けが容易にできたとのです。
明治ロジテム様の導入事例の詳細はこちらでご覧いただけます。
おわりに
本稿の事例を通じて、作業時間計測ツール「ろじたん」が現場改善の強力な武器となることをご紹介しました。各社に共通していたのは、「感覚」や「経験」に頼った従来の管理手法から脱却し、「データ」という客観的な事実に基づいて課題を特定し、具体的な改善アクションに繋げている点です。
データに基づく顧客との新たな協業関係の構築(日本トランスシティ様)、そして24時間稼働現場のブラックボックスを可視化し、科学的な人員配置を実現した(明治ロジテム様)など、その活用方法は多岐にわたります。これらの事例は、「ろじたん」が単なる時間計測ツールではなく、生産性向上、コスト削減、従業員満足度の向上、そして荷主との関係強化にまで貢献する経営改善ツールであることを示しています。
本稿では文字数の関係で紹介できませんでしたが、「ろじたん」は他にも多くの物流現場でご利用を頂いています。他の事例につきましては「ろじたん」のHPをご覧下さい。
人手不足がますます深刻化する物流業界において、データに基づいた業務改善はもはや選択肢ではなく必須の取り組みです。本稿をお読みになり、「ろじたん」にご興味を持たれた方は、ぜひ当社のHPよりお問い合わせください。オンラインでの詳細説明や、お客様の課題に合わせた活用方法をご提案させていただきます。
お役立ち資料【作業時間計測ツール「ろじたん」の物流事業者での導入事例集】はこちら

(この記事は、2026年1月13日時点の状況をもとに書かれました。)
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